TERIYAKI

2026年5月13日

塩、オリーブオイル、赤ワインビネガー。木場の予約困難店で味わう”引き算”のイタリア|commedia(コンメディア)


2026年5月12日、TERIYAKI美食倶楽部のオフ会で東京・木場の「commedia(コンメディア)」を訪れた。カウンター6席のみという店の構造を活かし、メンバー6名で店ごと貸切にしてのスペシャルコース。シェフ・山口大輔氏が目の前で一品ずつ仕立てていく約3時間を、贅沢に独り占めしてきた。

食べログ百名店、予約の取れない木場の隠れ家

commediaは東京メトロ東西線・木場駅A1出口から徒歩5分。永代通りから一本入った住宅街の一角に、看板も持たずひっそりと佇んでいる。食べログ百名店 TOKYO 2025選出、いま食通たちが口々に名前を挙げる予約困難店だ。店名はイタリア語で”喜劇”の意。目の前で料理ができあがっていくライブ感を、劇場のように楽しんでほしいという思いが込められている。

シェフの山口大輔氏は1977年群馬県生まれ。代官山「トラットリアサルサマーレ」で基礎を叩き込まれた後、2006年に渡伊、ピエモンテ州とマルケ州で1年研鑽を積んだ。帰国後は「アロマフレスカ」グループで原田慎次氏、笹川隆司氏(現「ボッテガ」)に師事し、約10年間にわたって前菜・メイン・パスタを担った。2020年に前身「inetto」を開業、2022年12月に店名を改めて現在のcommediaが始まっている。軽井沢の名店「フォリオリーナ・デッラ・ポルタ・フォルトゥーナ」小林幸司シェフの料理に衝撃を受け、”引き算”の道を選んだという経歴の持ち主だ。

調味料は塩、オリーブオイル、赤ワインビネガーの3つだけ

commediaの料理を語るうえで外せないのが、徹底した引き算の思想だ。調味料は基本的に塩、オリーブオイル、赤ワインビネガーの3つのみ。アンチョビもバルサミコもほぼ使わず、ニンニクも全体として控えめ。「主役はあくまで食材」という山口氏の信念が、皿の上に余白として現れる。

この日のスペシャルコースは、生ハムの盛り合わせから始まり、季節の前菜、手打ちパスタ2〜3皿、メインの炭火焼き、そして〆のアラビアータという構成。なかでも僕の記憶に深く刻まれた3皿をピックアップして紹介したい。

菊池源吾牛のサーロイン——赤身がここまで澄むのか

コースの白眉は、熊本県菊池市七城町「菊池ユートピアファーム」代表・増永優樹さんが育てる菊池源吾牛のサーロイン。もみ殻や藁を飼料に取り入れた循環型畜産で健康的に育てられた黒毛和牛で、等級や霜降りに頼らない哲学が貫かれている。

炭火でじっくり焼き上げられたサーロインに塩だけを纏わせた一皿。口に運ぶと、まず驚くのは脂の軽さだ。霜降りの和牛にありがちな途中で胃が音を上げる感じが一切ない。代わりに、噛むたびに赤身から澄んだ旨みが静かに立ち上がってくる。等級や霜降り信仰とは別の地平にある、黒毛和牛の新しい姿がここにある。

緒方エッグファームの卵で打つタリアテッレ

山口氏の真骨頂である手打ちパスタの中で、この夜いちばん象徴的だったのが、熊本「緒方エッグファーム」の卵を用いたタリアテッレ。オープン直前に使う分だけを伸ばすという徹底ぶりで、目の前で生地が薄く長く伸びていく光景そのものがごちそうになる。

一口含むと、卵黄の濃厚な香りと小麦の素直な甘みが、何の衒(てら)いもなく重なる。ソースで隠さず、塩とオリーブオイルだけで素材を直視させる潔さ。「卵ってこんな香りがしたっけ」と、テーブルから思わず声が漏れた。

3種のトマトで組む〆のアラビアータ

コースを締めくくるのは、甘み・酸味・食感の異なる3種のトマトで組み上げるアラビアータ。量は客のリクエストに応じて調整してくれるスタイルで、常連の中には200g以上を平らげる猛者もいるという。

3種のトマトが噛むたびに違う表情を見せる、グラデーションのある一皿。シンプルゆえに、トマトそのものの個性とパスタとの一体感が際立つ。コースの最後で誰もが「もう食べられない」と言いながら、結局スプーンの止まらない一皿だった。

カウンター貸切の3時間、メンバーが唸った夜

6名でカウンターを貸し切るのは、commediaの体験を最大化するうえで本当に正解だった。山口氏が一皿ずつ目の前で仕立てる手元を全員で覗き込み、調理の意図をその場で質問できる距離感。初参加のメンバーは「足し算の店ばかり食べてきたから、こういう料理に出会うと頭の中の地図が書き換わる」と漏らしていた。常連メンバーは菊池源吾牛のサーロインを口に運んだ瞬間、無言で頷いていた。あの沈黙は、commediaを知る者の合図みたいなものだ。

店内はブラウンと白を基調にした穏やかな空間で、貸切ということもあり会話も自然と弾む。山口氏とマダムの掛け合いも、料理と同じくらいこの店の魅力を形作っていることを改めて感じた夜だった。

削ぎ落とすほどに、素材は輝く

commediaは、足し算で勝負する店が増えるなかで、引き算という孤独な道を選び続けている稀有な一軒だ。素材の生産者の顔まで見えるストーリーと、それを最小限の調味で皿に置く技術。木場という立地もまた、この店の哲学にどこか似合っている。

TERIYAKI美食倶楽部では今後も、こうした”行きたくても行けない店”の貸切オフ会を企画していく予定だ。次回のご案内もお楽しみに。

店舗情報

店名:commedia(コンメディア)

住所:東京都江東区東陽1-11-3 桜マンション 1F

アクセス:東京メトロ東西線・木場駅 A1出口より徒歩約5分

席数:カウンター6席(完全予約制)

営業:月〜金 19:00一斉スタート/土 18:00一斉スタート

定休日:日曜
詳細はこちらから
https://teriyaki.me/articles/8707

テリヤキ編集部

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