TERIYAKI

2026年5月6日

eman(清澄白河)で味わう春のモダンスパニッシュ|TERIYAKI美食倶楽部オフ会レポ


5月の連休の終わり、清澄白河で「春」を喰らう

2026年5月5日、ゴールデンウィークの最終盤に、TERIYAKI美食倶楽部のメンバー9名で清澄白河の「eman(エマン)」を訪れた。今回はカウンターを貸切にしてのオフ会。お店を選んだ理由はシンプルで、5月のコースのテーマが「Primavera/春」だと聞いて、これは旬を全部捕まえに行くしかないと思ったからだ。

結論から書くと、僕の予想を軽々と超えてきた。スペイン郷土料理の骨格に、日本の初夏の食材が縦横無尽に編み込まれていて、終盤の蛍烏賊のパエリアまで一切ダレない。9皿で確かに「春」を一周した感覚があった。

清澄白河の古民家で出会う、モダンスパニッシュの現在地

emanは、清澄白河駅A3出口から徒歩1分。築60年の民家を建築家・佐野文彦氏がリノベーションした一軒家レストランで、店名はスペイン・バスク地方の言葉で「与える」を意味する。コンクリの床に黒の壁、年月の刻まれた梁と柱がそのまま残り、L字のカウンターからオープンキッチンが見渡せる構えは、これまでのスペイン料理店にはなかったタイプの空間だ。

オーナーシェフは小林悟氏(1984年・千葉生まれ)。25歳でスペインに渡り、ラ・マンチャの一つ星「エルボイオ」、バスクの三つ星「アスルメンディ」で研鑽。帰国後は奈良の「アコルドゥ」、銀座「アロセリア ラ パンサ」を経て、2021年12月にここemanを開いた。ミシュランガイド東京2024・2025に2年連続でセレクテッドレストランとして掲載、食べログ「スペイン料理 百名店2024」にも選出されている、文句なしの予約困難店だ。

ディナーコースは18,000円(税・サ別)。今回は5月限定の春コース「Primavera」を、ワインペアリングと合わせて貸切で楽しませてもらった。

春のコース「Primavera」全9皿のハイライト

1皿目:Ajo Blanco(アホ・ブランコ)― アーモンド/そら豆

つかみは、アンダルシア南部の冷製スープ「アホ・ブランコ」。アーモンド、ニンニク、シェリービネガー、パンを合わせた白濁の液体の中に、旬のそら豆のクリームが沈み、上には生ハムで取ったコンソメのジュレが琥珀色に光っている。「下からスプーンで混ぜながらどうぞ」と促されて層をすくい上げると、アーモンドのコク、そら豆の青い甘み、生ハムの塩気と発酵感が一気にひとつになる。冷たい温度で立ち上がるアーモンドの香りが鼻に抜けて、これだけで席に着いた瞬間の高揚感が一段上がる。

2皿目:Tapas(タパス3種)

続いてカウンターに同時に並んだのが、小林シェフの真骨頂とも言えるタパス3種。スペイン産スモーク生ハムは、赤いイチジクを練り込んだコッパの上に乗せて、ねっとりとした甘みと燻香が一体に。北海道産タコはピメントン(スモークパプリカ)オイルでマリネし、スペイン伝統の揚げ菓子の棒にエゴマの葉でくるんでタコス仕立て。手で持ってひと口で、香ばしさと薬味の清涼感が同時に来る。極めつけは北海道・天草産のウニのパイ。ピメントンのムースを挟んだサクサクのパイに、間に高知の昼のりが忍ばせてあって、ウニ・ムース・海苔の三段重ねが口の中で崩れていく。手で食べるよう言われる、その所作からして粋だ。

3皿目:Espárragos blancos ― ホワイトアスパラガス/サヨリ

塩で締めたサヨリの上に、ホワイトアスパラガスのムースを薄く敷き、利尻昆布出汁・ムール貝の出汁・スペインのカヴァビネガーを合わせた透明なソース。和の出汁とカヴァの酸味が交差する瞬間が面白い。サヨリのほのかな苦みがホワイトアスパラの土の香りを立ち上げる、上品な一皿。

4皿目:Piquillo ― 車海老/ピキージョピーマン

ピキージョピーマンに、シェリーで香りをつけたベシャメル、車海老、ソーセージ、ニンニクの風味を詰め込んで。炭で焦がしたソースのスモーキーさと、清見オレンジジュースの泡の柑橘の弾けるような酸味で、重さを軽やかに着地させる構成。

5皿目:Pescado ― サクラマス/アリオリ

桜の花を練り込んだパンの上に、ニンニクのアリオリソース、オーブン焼きにした2種の甘い玉ねぎ、そしてサクラマス。下には茨城産フルーツトマトのソース、上にふきのとうのクランブル。アリオリの濃さに、ふきのとうのほろ苦さが効いて、サクラマスの脂を一切くどくさせない。「桜のパン」っていう発想が、テーマの「春」をビジュアルから決めにくる。

6皿目:Carne ― イベリコ豚プレサ/アンダルシア

肉料理はイベリコ豚の希少部位「プレサ」(肩から背にかけて1頭からわずかしか取れない部位)を炭火焼きに。クミン、コリアンダー、パプリカを多用したアンダルシア風の赤いソースは、香辛料の層が複雑で、嗅いだ瞬間に「これは絶対に旨いやつ」と確信させる種類の香り。石川・能登「長田海産」の塩と、徳島産の春人参のローストを添えて。プレサ特有のキメの細かさと、サシの脂のまろやかさが、ソースのスパイスで何重にも引き出されていた。このコースで一番の歓声が上がったのはこの皿だ。

7皿目:Paella ― 蛍烏賊/ピカーダ

そして5月だけの限定パエリア。富山湾の蛍烏賊を主役に、ピカーダソース(すり鉢で叩いたローストアーモンド、ローストニンニク、レモン果汁)に、木の芽と山椒を効かせた清涼感のある仕上がり。米の一粒一粒に蛍烏賊のワタの濃厚さが染み込んでいて、噛むほどに山椒のピリッとした香りが追いかけてくる。蛍烏賊×山椒×木の芽という、和の春そのものをスペインの米料理に落とし込む手腕がただただ見事だった。

8皿目:Meloso ― 蛤/バスク

パエリアからの流れで、もう一品の米料理はバスク風の蛤の煮込み「メロソ」。スープを多く残したリゾット寄りの仕立てで、蛤の出汁がしっかりと米に纏わりつく。前皿の山椒の余韻を、貝の塩気でクールダウンさせる流れが上手い。

9皿目:Postre ― 苺/ウジョア+プリン

デザートは三重県産の小粒苺をスペイン産白ワインで漬け込み、その白ワインを煮詰めた甘いソース。下にはシェリービネガーのゼリー、上には苺の飴。スプーンで飴を割りながら食べる演出が楽しい。アイスはスペイン・ガリシア地方のセミハードチーズ「ウジョア(Ulloa)」を使ったもので、塩気とミルキーさが苺の酸味を支える。締めにプリンも添えて、「最後まで攻める」コースだった。

カウンター9席を貸し切って

9名でカウンターを貸切にできるのは、emanのサイズ感ならではの贅沢だ。L字のカウンターからキッチンの全工程が見えるので、小林シェフと原薗マネージャーの一皿ごとの説明を全員で聞ける一体感がある。ピキージョの炭ソースを焦がす火の音、パエリアのおこげが立ち上がる香ばしい匂い―カウンターはライブ会場でもあった。

初参加のメンバーが「スペイン料理ってこういうことだったのか」と一皿ごとに目を丸くしていたのが印象的で、常連メンバーも「春バージョンはまた完全に別物だな」と頷いていた。ペアリングはカヴァに始まり、シェリー、リオハ、ガリシアの白と、コースの流れに沿って組み立てられていて、料理と地続きでスペインを縦断していく感覚があった。

総評:「春のスペイン」を完全制覇した夜

9皿全部に明確なテーマと意図があり、なおかつ食べていて楽しい。モダンスパニッシュという言葉でくくるのが惜しいレベルで、emanは独自の場所に立っている。次は秋か冬、またコースが入れ替わったタイミングで再訪したい。

TERIYAKI美食倶楽部では今後も貸切オフ会を企画していく予定です。気になる方は会員ページの募集案内をチェックしてみてください。

テリヤキ編集部

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