東京メトロ副都心線・北参道駅から徒歩3分、ウエスト青山の1階。看板に派手さはないけれど、スイーツ好きの間で「いま最も予約が取りにくい菓子店」として名前が挙がる一軒がある。「おかしやうっちー」だ。2019年9月の開業以来、食べログのスイーツTOKYO百名店に2022年・2023年と連続で選出されている。席数はわずか4席。完全予約制で、13時から16時まで1組1時間ずつ、1日に4組しか迎え入れない。

オーナーシェフ・内山裕介さんという人
店主の内山裕介さん、通称「うっちー」の経歴はなかなかに異色だ。「Toshi Yoroizuka」で腕を磨き、都内のパティスリーやレストランを渡り歩いたのち渡仏。パリとリヨンのレストランパティスリーで研鑽を積む。帰国後は、フランス料理の文脈に和の骨格を通すため、白金の和菓子の名店「一幸庵」で修業を重ねた。その後、参宮橋のガストロノミー「Bon.nu」でシェフパティシエを4年間務め、2019年9月、ついに自らの店を構えた。
「和の要素を取り入れるのではなく、和菓子のように日本人の体に馴染む洋菓子を作りたい」——そう語る内山さんの哲学は、作り置きをしないこと、当日作った分だけを売り切ること、素材の輪郭を邪魔する余計な甘さを足さないこと、というかたちで、一皿ごとに現れる。
4月、野菜と山菜が主役の日
訪れたのは4月中旬。うっちーさんによれば、フルーツが一年で最も少ない時期だという。だからこの日の主役は、野菜と山菜だった。
わらび餅——根と葉でつくる香りの層

最初のひと品はわらび餅。本わらび粉を水で溶いて練るだけでは、あの青い香りは立たない。けれどこの一皿には、根から取った粉に加えて、地上部の緑の葉も仕込まれている。もっちりと歯に吸いつくような質感の奥から、草原を歩いたときのような青々しい香気がふわりと立ち上る。餅自体の甘みは控えめで、香りが主役。最初の一口で、「今日は素材の部位ごとに仕事をする店だ」と理解する。
よもぎプリンと淡路島トマトのムース

続いて、二種のプリンとムースが並ぶ。鮮やかな緑のよもぎプリンと、淡路島・福田トマト農園のトマトだけで仕立てたピンクのトマトムース。ムースの底にはしっとりとしたスポンジ生地が敷かれていて、スプーンを垂直に差し込むと、トマトの澄んだ酸味と生地のやわらかな甘みが、一口のなかで段差なく重なる。砂糖で殺さずに残したトマトの青みが、むしろ菓子としての余韻を伸ばしていく。よもぎの方は、苦みの手前でそっと手を引く設計。春の山の匂いだけが、口に残る。
紅はるか——身と皮、ふたつの芋が対話する

ドーム状のひと皿は紅はるか。スプーンを入れると、中から現れるのは無糖の生クリームと、紅はるかの身でつくったペースト。外側は皮ごとペーストにしたものが覆っていて、ひと口ごとに「身の甘さ」と「皮の香ばしさ」が入れ替わる構造になっている。同じ芋でも、部位を分けて仕立てると、ここまで表情が違うのかと驚く。生クリームが無糖なのも効いていて、甘さは芋そのものから立ち上る。菓子というより、ひとつの食材をめぐる短編のような一皿だ。
いちごのミルクケーキ——店の名刺

そしてこの店の名を広めた看板、いちごのミルクケーキが登場する。丸く積み上げたドーム状のフォルムは、見た目からしてもう可愛らしい。スポンジと苺の層の間に、ふわりと軽い生クリームが幾重にも重なる。口に運ぶと、クリームが「溶ける」のではなく「ほどける」感覚で、ぺろりと平らげてしまう。苺が終わる直前の、季節の名残をまるごと閉じ込めた一皿だった。
鍵は、軽やかな生クリーム

ここまで食べ進めてきて気づくのは、生クリームの設計がこの店の背骨だということ。使っているのは乳脂肪20%前後のもので、通常の半分ほどの濃度。それでも水っぽさはなく、ミルクのコクはしっかり残したまま、後味は軽く抜けていく。素材の輪郭を邪魔しない、というシェフの哲学が、一番わかりやすく立ち現れているのがこのクリームだ。
菓子と対話する飲み物たち
ワンドリンク制で供される飲み物のラインナップも、菓子に呼応している。パナマ産カトゥーラのコーヒー、本日の中国茶、そして「日本初のラグジュアリービール」と謳われるロココビール。どれも、菓子と喧嘩しないように輪郭の澄んだ一杯ばかりで、甘いものを食べ続ける1時間を、最後まで退屈させない。
わずか4席、1時間という贅沢
4席、1組1時間。数字だけ見れば、決して長い時間ではない。けれどその短さが、かえって集中を呼ぶ。一皿ずつに視線が注がれ、シェフからの短い説明にも耳が傾く。山菜から芋、そして看板の苺まで、季節の手触りを一皿ずつ丁寧に描く。甘いものは、ここまで繊細な表現ができるのか——そう思い知らされる、静かな1時間だった。
次の季節にもまた、予約表と睨めっこすることになりそうだ。
店舗情報
店名:おかしやうっちー
住所:東京都渋谷区千駄ヶ谷3-27-9 ウエスト青山 1F
アクセス:東京メトロ副都心線・北参道駅から徒歩3分/JR千駄ヶ谷駅から徒歩5分/都営大江戸線・国立競技場駅から徒歩5分
営業:イートイン 13:00〜16:00(1組1時間・完全予約制・4席)
予約:公式Instagramのストーリーズ告知 もしくは 電話
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