先日、また「カンテサンス」を訪れました。過去にも何度か足を運んでいるのですが、毎回まったく異なる表情を見せてくれるので、いつ行っても新鮮な感動に出会えます。お店に入った瞬間から漂う落ち着きと洗練された空気は変わらず、今回も特別な時間がはじまる期待で胸が高まります。席に案内されると、スタッフの方から改めて「当店はお任せコース1本でございます」との説明がありました。このスタイルは、素材の“ピーク”を最高の形でお届けするためのこだわりだそうです。
お任せコースならではのメリットは、やはり食材の鮮度や熟成のタイミングを逃さない点にあります。素材の状態が最高の瞬間に合わせて火入れをし、仕上げていくことで、料理の完成度が格段に上がる。シェフの「プロデュイ(素材)」「キュイソン(火の入れ方)」「アセゾネ(味付け)」に対するこだわりを、一皿一皿から強く感じられました。以前から印象的だったのは、食材を保存する際の管理の徹底ぶり。どの状態で最もおいしくなるかを見極め、その日のうちに料理として出す必要があるものは、妥協なくすぐに調理する。こうしたストイックな姿勢が、“素材が命”というモットーを支えています。
最初に運ばれてきたアミューズは「マスとピスタチオ」。淡泊な川魚の旨味に、ピスタチオの香ばしさとほのかな甘みがそっと重なり、優しい余韻を残します。続く「冷製オマール海老のスープ」は、だいだいの泡とオマール海老が織りなす爽やかな酸味と濃厚な甲殻の香り。飲んだ瞬間に口の中で弾けるような鮮烈さが、今も印象に残っています。
次の「山羊ミルクのババロア」は、百合根とマカダミアナッツで奥行きのある甘みをプラス。まろやかなコクの中に山羊ミルク特有の風味がひそやかに主張し、何ともいえないバランスを生み出していました。一方で「セイコガニのタルタル仕立て」では、内子と外子それぞれの旨味が重なり合い、さらにポワロのほろ苦さとアボカドのクリーミーさ、フルーツトマトの甘みが合わさることで、ひとつの小さな世界を形成しています。
温菜には「カワハギとその肝を用いたクレープ」が登場。ピーカンナッツ、グリーンアスパラガス、マイクロディルを添えて、彩りだけでなく食感にもこだわった仕上がりです。また、「海老芋のフリット」は、アナグマやハトのレバーを使ったラグーソースとの組み合わせが実に巧みで、野趣とエレガンスの融合が見事でした。以前いただいた海老芋料理とはまた違うアプローチで、毎回新鮮な驚きを与えてくれるのも、カンテサンスの魅力です。
魚料理の「クエ」は、高温で一気に焼くことで外は香ばしく、中は驚くほどジューシー。フェンネル、セミドライトマト、ケッパー、根セロリ、ポロネギのフリットが加わり、複数の香りと酸味が交錯する、奥深い一皿に仕上がっています。続いての肉料理「榛原牛のバベット」は、赤ワインと香味野菜でじっくりマリネした後、表面をキャラメリゼ。ひと口噛むごとに凝縮された旨味と芳醇な香りが広がり、訪れるたびに期待を裏切らない完成度です。
デザートは“軽やかな締め”というよりは、重厚で華やかなフィナーレを演出しています。「キャラメルのシャーベット」は、甘味と苦味が見事に調和し、大人らしいほろ苦さを後味に残します。「マカロン」はアーモンドとカカオニブ、アーモンドクリームが織りなす繊細な甘みと香り。「クリのガレット」は、濃厚な栗の香りと卵のコクが合わさり、まさに秋の恵みを凝縮した一品。そして最後の「メレンゲのアイス」が、ミルクとクリームの優しい風味でコース全体をふんわりと包み込むように締めくくってくれました。
こうして何度訪れても、今回もまったく新しい世界が広がっていた「カンテサンス」。一つひとつの皿に込められたストーリーやメッセージは、ただ美味しいだけに留まらず、素材への愛情と技術の粋を感じさせてくれます。フランス料理というジャンルをベースにしながらも、常識や固定概念に縛られない自由さ、そして「プロデュイ」「キュイソン」「アセゾネ」を徹底するこだわり。そのすべてがシェフの独自性と情熱を証明していました。
次はいつ訪れられるか、すでに楽しみでなりません。どの季節に行っても、その時だけの食材を生かした最高の一皿との出会いが待っているに違いありません。これこそが“完全お任せコース”の醍醐味であり、「カンテサンス」に通い続ける理由なのだと改めて感じた夜でした。
Quintessence(カンテサンス)
0362770090
東京都品川区北品川6-7-29 ガーデンシティ品川 御殿山 1F
▼お店の情報は下記のリンクから▼
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