──前回に引き続き、テリヤキストである堀江貴文さん、外食産業のことならなんでも知っている覆面A、毎日高級料理店で食事をするのが大好きな覆面Bさんに高級寿司店のマーケティング手法について語って頂きます。果たして、日本を代表する料理である寿司屋の業態はどういう仕組みになっているのでしょうか。
堀江 寿司屋の場合って、どういうタイミングで独立するんですか?
覆面A 数字で言うと、家賃があるじゃないですか、大体保証金が10ヶ月から12ヶ月ですよね。だから、6人がけ10坪で銀座だと1坪約4.5万くらいしますから、10坪で40万~50万円。12ヶ月で600万円、内装もしたら、1,000万円~1,500万円はかかりますよね。
堀江 そうですね〜。寿司屋のカウンターは白木の一枚ものだからね。
覆面A 最低でも2,000万円は必要ですね。
堀江 ただ、最低でも2,000万円って絶対30代じゃ持ってないですよね。
覆面B ただ、2,000万円ってパトロンからしたら出しやすい金額だよね。
堀江 確かにそうですね。
覆面B 2,000万円で寿司店が持てると思うと出す人いそうだよね。
堀江 『鮨 竜介』とか最近話題ですよね。『鮨 竜介』は、六本木にある『masurao』(氣志團メンバーと飲める店)とか麻布十番や銀座にある『尾崎幸隆』なんかの共同オーナーがやってますよね。
覆面A 今までそういうオーナー的な人は全然表に出てこなかったけど、最近出てくるようになりましたよね。2016年12月にオープンした『鮨由う』は、焼肉で有名なうしごろの会社がオーナーですからね。うしごろのプレスリリースにも載ってましたから。
覆面B 寿司屋を経営するってビジネス的にどうなんですかね。やってる感の方が強いんですかね。
堀江 完全にやってる感でしょ。まず、6席の寿司店って自己資金でやってる感じしませんか。客単価2万円で2回転しても1日24万円。20日間営業しても480万円。約500万円ですよね。月500万で粗利率ってどのくらいなんですか。
覆面A 寿司店は回り出すとすごくいいんですよ。原価率もどんどん下がるんです。使うネタの質にもよりますが、ざっくり20%まで下がると聞きます。
堀江 そんなに下がるんですか?月500万円稼いだら、手元に400万円残るってことですよね。それで家賃が50万円。手元に200万~300万円は残るからバイトを一人か二人雇っても、残りが150万円~200万円くらい。オーナーがそこから取っても100万円くらいは手元に残るってことですね。
覆面B 運良くて軌道に乗るまでに半年かかるとしても1年間で回収できるってことですね。
堀江 じゃあ、寿司屋やってみようかな(笑)
▼ 仕入れルートを確保するというのは重要なんですか?
覆面B 結局独立のポイントというのは、やま幸みたいな卸から分けてもらえるのかどうかっていうところじゃないですかね。そういう卸と繋がりがあると、安心供給することができる。それぞれ独立しても最低限良い条件でネタを仕入れていけると思うんです。個人的には、独立というのはそういうことだと思ってます。例えば、『鮨さいとう』さんから独立する時には、やま幸に聞いてあげるからマグロを分けてもらいなよって。ことができると思うんです。
堀江 確かに、マグロ一匹は個店で買うことができないですよね。
覆面B それができるから初めて独立ができると思うんですよ。仕入れルートも結局は、ネズミ講のように親元が若手をどんどん輩出して素材供給で稼ぐというのは、一つのやり方ですよね。そのために、育成をする。
堀江 ある意味フランチャイズ展開してるってことですね。だったら、寿司店にフィナンス機能をつけてもいいと思うんだよね。だから、寿司店ってまだまだ全然イノベーションの宝庫だと思っていて、まだまだやれることってあると思う。前々から思ってたんですけど、毎朝築地に行かなきゃいけない論というのは正しいんですか?
覆面A 実際のところどうなのかなっていうのはありますよね。
堀江 精神論としてはアリなのかもしれないが、マグロを見に行かないと仲卸が手を抜くものなんですかね。
覆面A それは神話ですねって言われたらそれまでなんですが、まずは「これ、お前のために取って置いたからもってけよ」といわれるくらいになるまでが大変。取り置きしてもらえるまでに時間がかかるんです。途中で行くのをやめるとあいつは偉くなったなって言われるんです。完全に仲卸が有利ですね。
覆面B 本質的な話をすると本当にやま幸さんのところのマグロは美味しいのかっていうのが知りたいんですよ。
堀江 そんなに大きな差はないと思うんですけどね。ただ、安定していいものは供給されているとは思うよ。例えば、下関に全国のフグが集まるのと一緒で、あれってただ全国のフグが集まってるだけですよ。それと同じで、築地にマグロが集まるのは1番高く売れるからだと思うんです。
▼最近はマグロを使わない寿司屋も増えてきました。
堀江 そうですね。確かに、最近は様々な工夫をしてマグロを使わない寿司屋とかも増えてきましたね。
覆面B 使わないんじゃなくて使えないお店が増えてきてると思うんです。客単価1万5000円に抑えたかったら、大トロを提供することができない。
覆面A 以前六本木にある寿司店に行った時に、そこのマグロがアイルランド産だったんです。コースが1万5000円だったというのもあるんですけど、昔まで日本のマグロじゃなきゃカッコ悪いみたいなことがあったじゃないですか。それが、普通にアイルランド産のマグロを使えるようになると、イノベーションにつながるかなと思うんです。
堀江 僕、実はアイスランドの観光大使もやってるんですけど、アイスランドのマグロはすごくいいですよ。アイスランドマグロと大間のマグロとか質は同じなんです。アイスランドでは、全然今まで開拓されてなくて、4.5年前まではやってなかったんですよ。
覆面B 僕はそれはもマーケティングだと思っていて、アイスランドのマグロですって出てきて、それに合うペアリングをしてみるとか面白いと思うんです。なんかそういうところまで、できると料理として次のレイヤーに行けると思うんです。それを鮨じゃないっていう人がいるからやりづらいんだけど、それを突き抜けたのが三谷さんとかだと思うです。(『鮨三谷』は、寿司屋で初めてワインペアリングを始めた寿司店。)
覆面A ここ最近面白いなと思うジャンルが「天ぷら」なんです。『くすのき』も『たきや』も独学なんですよ。『くすのき』は、料亭で日本料理の天ぷらコーナーで学んでそこで色々考えていた。『たきや』は、リッツ・カールトンでやってましたからね。『天政(テンマサ)』や『天一(テンイチ)』でやってましたっていうと、そこから中々外れにくいですよ。
覆面B 西麻布にある天ぷら屋『からさわ』なんかは、ホテルで日本料理で学んでいたからフグも捌けて、フグの天ぷらもできるんですよ。
堀江 広尾の天ぷら屋『うち津』は、最後のシメに麺が選べるんですよ。にゅうめんにかき揚げ乗っけたのとか。
覆面A 天ぷらが素人って言ったら失礼だけど、そういう人がいたからこう色々と面白いことがやれたように、寿司屋なんかもそういう未分野からSNSなんかでいろんな情報が入ってきたから変わりつつはありますよね。
堀江 ほんとそうだと思いますよ。寿司店はまだまだ進化するよ。
覆面B 天ぷらって巨匠が下を潰す感じはないじゃないですか。寿司って斬新なことをやったら、あれは寿司じゃないっていう、なんかそういう親方層がいるイメージの世界観がありますよね。それこそ、堀江さんが言っていた修行しないでってことにつながると思うんですよ。あいつはロクに修行もしないで職人になって、ダメな職人。みたいなのを押し付けることを2秒でディスれる。けど、天ぷらって、素人目に見ると修行なんかいらなく見えちゃうじゃないですか。 だから、修行とか言われるとピンとこないんだけど、寿司店って修行いるよなって素人目でみてもわかる分野じゃないですか。天ぷらって家で作れるし。けど、寿司を家で握れるお母さんっていないから、逆に天ぷらは斬新なことをやっても俺の家はこんなのも揚げてたよ っていえる。なんか、そういう新しいものに対するコンシューマーの同意が取りやすいと思うんです。 寿司は新しいことをやろうとすると全部回転寿司に寄っちゃうんだよ。要するに、マヨネーズ付けたら回転寿司だよねって。プロの職人がマヨネーズがうまいと思って握って出すことに 対する民意が得られない。そこはやっぱり回転寿司の方に引っ張られちゃうのと、親方 が、上手にディスれるといういい環境にいるから既得権益が守られる。があるんじゃない かなって思う。
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